 第3号
特集 第5次総合計画の策定にあたって
2009年第2回宮田村議会定例会本会議における天野早人の一般質問から
■はじめに
宮田村の総合計画は、1970年度に「第1次総合開発計画」としてスタートしました。1990年度の第3次から「総合計画」と改称し、現在は2010年度までを区切りとする第4次のゴールがせまってきています。今年度は、2011年度からスタートする第5次の策定にむけ、315万円の予算が計上されています。しかしながら、どのような手順や手法で策定しようとしているのか、明確にはなっていません。
■次期総合計画の策定にむけた課題
第5次総合計画の策定にあたり、検討しなければならない事項が四つ考えられます。
<現行の総合計画の評価>
現行の総合計画をどのように評価し、新しい計画に関連性を持たせていくのかという課題があります。村はコンサルタントを決めてから、コンサルタントと一緒に、現行の行政評価制度とは別の方法で評価する考えですが、似たようなことをいくつやっても、あまり意味があるとは思えません。せっかく継続してやってきた行政評価を予算化するところだけで使うのではなく、新しい計画づくりのための基礎的な材料づくりにつながるように、改良すべきであろうと考えます。
<形骸化する審議会>
村の総合計画審議会条例に、「計画の樹立及び変更に関する重要な事項を調査審議する」とあるものの、第5 次計画に関しては一度も審議会が開かれないまま、コンサルタント業者が決まろうとしています。村は、アンケート調査をまとめてから審議会を開く考えですが、それでは審議会が形式的なのものにすぎないという疑念を抱かざるをえません。できるだけ白紙の状態で、審議会での協議をスタートし、主体的に関わっていく必要があると考えます。
<総合計画と住民との距離>
これまでアンケートや懇談会などが行われていますが、回収率や出席率が低すぎるという問題があります。第5次では、新たにパブリック・コメントが加わると思われますが、計画をまとめあげていく全工程から見れば、きわめて断片的な参加にとどまっています。
特定の役場職員や住民だけではなく、なるべく多くの役場職員とあらゆる年齢層の住民が同じテーブルにつく必要があると考えます。苦労したとしても、足元からまとめていく過程に意義があり、それが本当の意味での「協働」だと思います。審議会参加の門戸を開くか、新たに策定に特化した組織を設けることが必要があるはずです。コンサルタント主導で格好のよい文章をまとめても、意義のある計画にはなりません。
<総合計画の位置付けの明確化>
地方自治法では、議会の議決を経て「基本構想」を定めることになっています。しかし、実際には「基本構想」、「基本計画」、「実施計画」があり、まとめて「総合計画」としています。宮田村を含むほとんどの自治体では、総合計画の位置付けがはっきり定義されていません。総合計画が宮田村にとって、どのような意味を持っているのかを条例できちんと明文化すべきではないかと考えます。
さらに、総花的になりがちな計画を、スマートにすることにもつながります。情報の公開や共有、協働の推進など、基本的な原則を条例化しておき、総合計画はなるべく具体的なものに絞るべきであろうと思います。
■質疑・答弁の要点
2009年6月15日の一般質問で、わたくしはこの問題を取り上げました。
●質疑[総合計画の役割を再確認した上で、総合計画そのものが抱える課題をどう考えるか]
○答弁(村長)[総合計画は、基本計画とあわせて策定されている村づくりの最上位の計画指針である。住民や職員との関心が薄い、低い、総花的である、財政との連携が図られていない、図りにくい、実行性をともなっていないかと思う。]
●質疑[次期総合計画の策定にむけて村長自身がもっとも重視することは何か、大切にすることは何か]
○答弁(村長)[この経済を取り戻すには大変な努力が国もあげて必要になるだろう。自律の村づくりの住民意識を大切にしながら、活力を育む環境を構築したいと考えている。]
●質疑[次期総合計画をどのような手順や方法で策定するのか]
○答弁(村長)[今年度に委託契約するコンサルタント業者との協議結果により手法は変わるところがあるが、地域住民の意向を把握し、計画に反映することを考えている。]
●質疑[住民の意見を聞きながら手法を決めた上で、適合するコンサルタントに依頼するのが筋ではないか。策定する手順や方法も含めて議論するのが審議会ではないのか]
○答弁(村長)[コンサルタントは、こういった総合計画を作成する専門的な手法がある。白紙の状態で審議会にのっけるとか、原稿のないところへ意見を求めるのは進行が難しくなると考える。]
●質疑[総合計画をまとめ上げる過程において、住民との協働をいかに進めるのか]
○答弁(村長)[以前のむらづくり協議会のような組織設置については、今のところ考えていない。村民から意見が求めやすい環境をつくってのぞむ。]
●質疑[アンケートの回収率や懇談会の出席率が低い中で、どうやって住民の意見を聞くのか]
○答弁(村長)[懇談会は住民の日程と行政の日程が合わない部分があると思うが、アンケートについては回答がされない部分は聞き取り調査も踏まえていきたいと考える。]
●質疑[未来を担っていく子ども達が、総合計画の策定にかかわれる機会をつくれないか]
○答弁(村長)[子ども達は村のことを想い、関心を持っていることは非常に感じ、そういった提言も実際に出ている。教育委員会にお願いしながら、子ども達のフレッシュな意見なども大切だと思うので、考えたいと思う。]
■おわりに
総合計画は市町村が定める計画の中で、もっとも上位に位置する大切なものです。しかしながら、研究者が「シンクタンクに高額を支払って外注している」、「内部でつくって策定委員会はオカザリ」と述べたり、「日常業務の中では忘れ去られ、ほとんど放置された状態が続いている」などと評するほど、たくさんの課題を抱えています。
住民と一緒になって、夢のある将来像をまとめあげ、それを実現するのが、村政の進むべき道であるはずです。コンサルタントに丸投げするようなことは、絶対に避けなければならないと考えています。
【参考文献】阿部齊(他)、2000年『地方自治の現代用語(新版第一次改訂版)』、学陽書房。内仲英輔、2006年『自治基本条例をつくる みたか市民の会がめざしたもの』、自治体研究社。江藤俊昭、2009年「自治体計画と地方議会 地域経営に責任を持つ議会とは」自治体学会(編)『年報自治体学』第22号、25-52頁。神原勝、2009年「総合計画の策定と議会基本条例」自治体学会(編)『年報自治体学』第22号、2-24頁。斎藤達三、1999年『総合計画の管理と評価 新しい自治体計画の実効性』、勁草書房。中邨章(監)、2008年『行政カタカナ用語辞典』、イマジン出版。松下啓一、2008年『自治基本条例のつくり方(初版第2刷)』、ぎょうせい。松下圭一、2005年『自治体再構築』、公人の友社。宮田村、2006年『宮田村第4次総合計画後期基本計画』。宮田村、2001年『宮田村第4次総合計画』。宮田村、1996年『宮田村第3次総合計画後期基本計画』。宮田村、1990年『宮田村第3次総合計画』。宮田村、1985年『宮田村総合開発計画基本計画』。 |