広聴活動のあり方を考える
2008年第4回宮田村議会定例会本会議における天野早人の一般質問から
■はじめに
住民の皆さんに情報を広く報告する「広報活動」とともに、住民の皆さんから情報を広く聴く「広聴活動」についても、きちんと行っていかなければなりません。
宮田村においても、総合計画後期基本計画の中に「広聴活動の充実」が盛り込まれています。実際に、アンケートや行政懇談会などが行われていますが、よりよい広聴活動のために、いくつか改善しなければならない点があるようです。
■宮田村における広聴活動の現状
いくつかの事例をあげる中で、宮田村における広聴活動の課題を考えてみたいと思います。
[転入世帯アンケートの問題点]
2004年9 月から2006年8 月までに転入された384世帯を対象に、転入から1 年が経過したところで、町内会への加入状況や村の施策について尋ねたものです。しかしながら、回収率は32.55%にとどまり、3年で廃止されました。
問題は二つあります。まず、3 度実施する間に回収率を高める工夫がなされていないことです。たとえば、転入してきた理由、町内会に対する理解などは、転入手続きの際にアンケートをするほうが、内容的に遜色なく、回収率を高めることができたはずです。
もう一つは、結果が住民に報告されていないことです。行政内部では、総合計画後期基本計画をつくる際の参考資料にしたようですが、住民の皆さんに協力いただいたアンケートの結果は、広報誌などで報告する必要があるはずです。
[むらづくりアンケートの課題]
転入世帯アンケートの回収率がふるわなかったことから、別のかたちでアンケートを実施するということと、第5次総合計画策定の参考資料をつくるということで、2008年8月に全世帯数の82.10%にあたる2,670世帯を対象にした、むらづくりアンケートが実施されました。
しかしながら、回収率は18.50%という厳しい結果に終わりました。二つの理由が考えられます。第一に、回収方法をあげることができます。回収方法は、有意義なアンケートを実施する上で重要なポイントです。ところが、村の公共施設に設置した回収箱へ投入するか、村職員のところまで持参を求めるものでした。たしかに、節約の視点も必要ですが、郵送であれば回収率はこんな数字にはならなかったはずです。
第二は、質問の設定に関する問題です。たとえば、「自然環境の保全や景観づくりの推進」について満足しているかどうか、というようにわかりにくい設問になっています。総合計画の内容にあわせた設問ですが、そうであったとしても、もっとわかりやすく、答えやすい文章で尋ねることが求められたはずです。
[手段によって異なる対応]
村への提言箱あるいはインターネットで寄せられた意見は、無記名のものには回答していません。そうするのであれば、あらかじめ無記名のものには回答しかねる旨を表記しておく必要があるはずです。提言箱を設置するのは、匿名性を担保するということであり、村には回答する責任があると考えます。もちろん、中傷の類、プライバシーに関する件は適切な対処が求められます。
その他、メールの類については一切掲載されていません。なお、行政懇談会のように、住民の意見・質問と行政の回答をまとめ、公表しているものもあります。
どのような手段の広聴制度を使ったとしても、住民から見ると、同じように対応されていると思っているはずです。現状のように、手段によって行政の対応が異なったままでは、住民の混乱を招きかねません。
■質疑・答弁の要点
2008年12月10日の一般質問で、わたくしはこの問題を取り上げました。
転入世帯アンケートの結果をどのように評価するか
答弁(村長):転入して1 年余りでは実情がわからないとする方も多く、また行政区未加入世帯から回答はほとんどなかったため、目的が十分達成できないとして終了した。
むらづくりアンケートの結果をどのように評価するか
答弁(村長):転入世帯アンケートにかわり、住民の意見を施策に反映することを目的に実施した。分析し、今後のむらづくりに役立てたいと考える。調査により、意見を聞くことも住民サービスであると考え、来年度以降も実施したいと考えている。
村への提言箱の成果と課題
答弁(村長):内容を十分検討し、結果について提言者に回答している。広報等でも公表してきた。職員に対する提言は、すべての職員がみずからのこととして取り組むよう周知している。土木・交通安全、制度・政策への提言は、担当課で十分検討するとともに上部機関へ要請を行い、実施に向けているところである。住民の率直な意見を聞き、少しでも行政経営に反映していきたいと考える。
行政懇談会、職員の地区担当制による広聴活動の成果と課題
答弁(村長):行政懇談会は11 地区で開催し、計317人に参加いただいた。懇談会で出された意見は、多岐にわたり貴重な意見をいただいている。地区担当職員は相談等を主としており、直接的な広聴活動はしていない。
広聴活動の充実に向けた今後の取り組み
答弁(村長):各種事業や計画策定の際にパブリック・コメントを行い、広く住民の意見を聴く形で実施をしていきたいと考える。むらづくりアンケートは、重要な広聴活動であると考えており、引き続き実施したいと考えている。
広聴方法によって、寄せられた意見の扱い方が異なるのはいかがなものか。無記名のものも含めて扱い方を統一すべきではないか
答弁(村長):無記名だから無視するということはなく、対応する必要性があるものは対応しているが、どういう要望があって、どういうふうにしたという回答はしていない。今後は考えたい。
■おわりに
広聴活動によって、新しい知見を得られるように、有意義な手段で取り組まなければなりません。まず、これまでの広聴制度をより有意義なものにするため、これまで指摘してきたような改善が求められています。
また、広聴の手段が豊富であるほど、住民の利便性が高まり、より多くの意見を集めることにつながるはずです。今後、パブリック・コメントの有意義な活用も考えながら、広聴制度を一層充実させていく必要があると考えています。
【参考文献】阿部齊(他)、2000年『地方自治の現代用語(新版第一次改訂版)』、学陽書房。田村紀雄(編)、2003年『地域メディアを学ぶ人のために』、世界思想社。土橋幸男、2008年「今、なぜ広聴の時代か?」自治研修研究会(編)『月刊自治フォーラム』583、11-15頁。土橋幸男、2008年「広聴の役割と課題 パートナーシップ行政推進の観点から」『都市問題研究』第60巻第9号通巻693号、3-14頁。土橋幸男、2006年『分権時代の広聴入門 理論と実際』、ぎょうせい。中邨章(監)、2008年『行政カタカナ用語辞典』、イマジン出版。宮田村、2006年『宮田村第4次総合計画後期基本計画』。宮田村、2001年『宮田村第4次総合計画』。 |