行政評価制度の充実にむけて
2008年第3回宮田村議会定例会本会議における天野早人の一般質問から
■はじめに
1990年代後半から、「行政評価制度」が注目されはじめました。指標を設定して行政の仕事を評価し、サービスの質を高めようとする試みであり、透明性を高めることにもつながります。
総務省の報告によれば、こうした制度を導入している地方公共団体は、この5 年間で約4 倍に増加しています。ちなみに、2006年10月現在の導入率は40.9%になっています。
行政評価制度は、おおまかに二つの形があります。一つは、事業の実施前に評価を行う「事前評価」か、事業の実施後に評価を行う「事後評価」なのかという違いです。もう一つは、行政だけで評価を行う「内部評価」か、研究者や住民と一緒に評価を行う「外部評価」なのかという違いです。
宮田村は「事後評価」で、かつ「内部評価」を採用していますが、まだ十分な制度になっていません。よりよい制度設計をめざして、さらに発展させていく必要があります。
■宮田村が取り組む行政評価制度
村では2006年度に、「事務事業評価制度」と称する行政評価制度を導入し、今年度で3 年目を迎えました。2005年度から2007年度分の実施計画を対象にしており、前年度に実施した事業の1/3にあたる事業を評価しています。ただし、上下水道事業は含まれていません。
2007年度を例にすると、評価の流れは5 段階にわかれています。第1 段階は、それぞれの事業の所管課が、各事業の目的や経費、実績・効果をまとめ、必要性、有効性、効率性、優先性などを評価します。つづく第2 段階では、各課長・教育次長・議会事務局長が「1次評価」を行います。第3 段階では、行政評価制度の事務局を担う総務課が評価を下し、第4段階として、村長・副村長・教育長が「2 次評価」を行います。最後に、所管課が今後の方向性をまとめています。
そうした段階を経て、翌年度の予算に反映していくことになっています。

■宮田村の行政評価制度の課題 村の行政評価制度をさらに発展させていくた
めに、次の三つの課題に取り組まなければならな
いと考えます。
[行政内部での評価]
村は「内部評価」を採用しています。各課で所管する事業を自己採点し、その問題点を再認識するという意味では、有効なのかもしれません。
しかしながら、評価が住民の想いと合致しているのかどうかという問題があります。たとえば、評価の過程で「住民からのニーズ」を判定することになっています。ところが、住民の意見を集めているわけではなく、評価は所管課の判断に任されており、客観性に疑問が残ります。
村が総合計画後期基本計画や2007年度の評価結果の中でふれているとおり、「外部評価」を導入しなければなりません。
[長すぎる評価の間隔]
実施計画に掲載された事業のうち、前年度に実施した事業の1/3にあたる事業を評価しています。これでは、すべての事業を評価するのに、3年かかることになります。また、前回の評価と比較しようとすれば、最大で6年の月日が必要になります。行政運営にスピードが求められる時代に、3年や6年もかけていては対応が間に合いません。
村は2007年度に評価方法を変えていますが、そうした変更が今後もあると、過去との比較が一層困難になっていくことも予想されます。
総花的な行政評価制度も一つの方法ではありますが、評価する事業の数をしぼり、詳細な評価を一定期間継続していくほうが、現実的であると考えます。
[不十分な指標の設定]
村の評価結果は、「行政評価シート」という様式でまとめられています。その中に、「アウトプッ
ト」や「アウトカム」などの専門用語が出てきます。そうした言葉は、「インプット」と並び、評価
に使用するための指標です。
研究者の言葉を借りれば、一つ一つの事業の目標に対して、アウトプットというのは「どのよう
な仕事をやったのか」、アウトカムは「どれだけの効果があったのか」、インプットは「どれくらいの
費用がかかったのか」という意味になるかと思います。
それらの指標を適切に設定した上で評価を行わなければ、「どのような仕事をやったのか、ど
れだけの効果があったのか、どれくらいの費用がかかったのか」という因果関係がはっきりしませ
ん。残念ながら、村の行政評価結果は、その点が十分ではないようです。
■質疑・答弁の要点
2008年9月10日の一般質問で、わたくしはこの問題を取り上げました。
行政評価制度の導入によって得られた成果
答弁(村長):まず、事務担当職員が自ら担っている事業について、どれだけの仕事をこなしたのか認識できたことで、職員の意識改革のきっかけにつながる。二つ目に、住民ニーズの把握と有効性、効率性を判断できたことで、一部は実施計画や予算に反映できた。三つ目として、今後の施策の方向を探る一つの材料ができる。
行政評価制度の充実にむけた今後の課題
答弁(村長):より的確に予算への反映を行うこと、総合計画の推進状況と並行して推進あるいは事業の方向転換へ向けていくことが重要である。また、建設事業などにおける事前評価についての検討や、実施方法や費用対効果を十分検討する中で、外部評価の実施も研究していきたい。
外部評価の導入は喫緊の課題ではないか
答弁(村長):現時点での問題点が自覚できないと、次のステップに移らないので、十分その辺把握をして、前進できるような評価体制を構築していきたい。
■おわりに
いま、行政評価制度は発展途上にあり、全国各地で試行錯誤が続いています。宮田村にふさわしい行政評価制度は、宮田村が自ら構築していかなければなりません。この取り組みで得られた最大の成果が、分厚い報告書をまとめたことだったということにならぬよう、一刻も早く安定した制度にしなければならないと考えます。
そのためには、「行政内部での評価」、「長すぎる評価の間隔」、「不十分な指標の設定」の見直しが不可欠なはずです。評価結果が住民の想いと合致し、よりよい政策を実現していくための道具となるように、制度の改善を求めていきたいと思います。
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